天念寺の修正鬼会

長岩屋山天念寺

 六郷満山中山本寺の一つ。養老2年の718年に仁聞の開基で12の坊を有していました。天念寺の伽藍は、本堂・庫裡・講堂・六所権現社などからなっておりましたが、本堂と庫裡は昭和16年10月1日の集中豪雨で流出しました。当時本尊の「木造阿弥陀如来立像」(国宝)は帝室博物館(国立博物館)に展示していたため難を逃れました。本尊は終戦後寺院再建のため売却されましたが、県・市や地元の尽力により平成9年11月13日無事里帰りを果たすことが出来ました。
 なお、天念寺は無住であるため、この本尊は宇佐市にある「大分県立歴史博物館」に疎開しています。(※その後収蔵庫「鬼会の里歴史資料館」が完成したので地元で保管されています)
 また、講堂前にある長岩屋川の中の巨岩は講堂の上の岩が落ちたものだそうで、その石には水を静め人々の安泰を願って不動明王(3.23m)と脇侍である「矜羯羅(こんがら)童子とせいたか童子」の2童子が刻まれています。

(注)現在でも国宝でない仏像等に「国宝」と説明されている物がありますが、これは文化財保護法制定前の国宝で、天念寺木造阿弥陀如来立像も現在は「国指定重要文化財」です。

 修正鬼会

 この豊後高田市の長岩屋山天念寺で行われる修正鬼会は、六郷満山に1000年前から伝わる宗教行事であり、国家安泰と五穀豊穣を祈念しています。毎年旧正月の7日に行われます。寺の行事と村の行事が見事に結びついた仏教民俗の典型と言われ、平成8年6月8日から9日にかけて国立劇場第77回民俗芸能公演「六郷満山 国東の修正鬼会」として公演されました。
 講堂では僧侶による米華・香水・鈴鬼などの法舞のあと、介錯(介添え)に守られた災払鬼(赤鬼、法蓮の化身)と荒鬼(黒鬼、仁聞の化身)が「ホーレンショーヨ、ソリャオンニワへ」(法蓮称揚それ鬼庭へ)の声に囃されながら、松明を持って参拝者をタタキ廻って加持祈祷しますので、服もろともカチカチ山になることが多々あります。当日参拝される方は、燃えても良い服でどうぞ!!
 江戸時代には20ヵ所をこえる六郷山寺院で修正鬼会が行われていたそうですが、現在では天念寺及び岩戸寺・成仏寺(岩戸寺・成仏寺は一年おき)の3ヵ寺で行われているだけです。
昔使っていた鬼会面が「大分県立歴史博物館」にたくさん展示されていますが、人間が想像する鬼にも色々あり大変おもしろいですよ。

 2009/02/01 久しぶりに天念寺にお参りしてきました。修正鬼会の写真を追加しましたので、雰囲気を味わってください。

 鬼会 講堂内  鬼会 講堂内
 天念寺講堂 鬼会大松明
天念寺川中不動 天念寺川中不動
鬼会大松明は長さ約5メートル(H21.02.01)
最近は松明の材料も少のうなったき、早めに消して、来年は先のほうだけ取り替えるんじゃ。(H21.02.01)
 川中不動の前で僧侶が読経(どきょう)するなかコーリトリ(水垢離(ごり))、が行われる。(H21.02.01)  講堂本尊 お寺の総代さん(?)が線香やらの(などの)お供え物の準備をしよった。(H21.02.01)
 「近頃は祭りの人手が足りん。勤めもあるき、前もっての打ち合わせも良うできんごつなった。」松明に火を付けちから細部の打ち合わせをしよった。(^_^;)鬼会大松明(H21.02.01)  「重てえぞ〜」 いっぱい飲んじよるき、声は出るんじゃが力がでらん。コマッタナア!・・・鬼会大松明(H21.02.01)
 「もうやけのヤンパチ」でヨイショ!。かっこいい炎があがあがったよ。鬼会大松明(H21.02.01)  六所権現社は、明治初めの神仏分離令によっち身滌(みそそぎ)神社ち(と)といわれるごつなったんじゃ。地元では今でん(でも)「権現様」ち呼ぶそうじゃ。(H21.02.01)
 天念寺の裏にある無明橋(むみようばし)。「六郷満山峰入り行」で渡るんじゃが、不浄の者が渡ると崩れ落ちち(て)しまうんじゃ。なにかコワソウ〜・・・(H21.02.01)  身滌神社で最後の練習をしよった。(H21.02.01)
 僧侶もデジカメで記念撮影 本堂前(H21.02.01)  本堂から講堂に向かう僧侶(H21.02.01)
 午後3時頃から講堂でお経があげられる。(H21.02.01)  「ちょいとよっちみちょくれ」ち(と)ガラス戸に書いちょった。(H21.02.01)
本尊の「木造阿弥陀如来立像」(国指定重要文化財)を収蔵している「鬼会の里歴史資料館」  里帰りした天念寺木造阿弥陀如来立像(国指定重要文化財) 平安時代(12世紀)・像高198p・かやの木材を使用した一木造・明治時代に国宝に指定、昭和25年の文化財保護法により重要文化財に指定されました。

※写真は大分県立歴史博物館の平成14年度特別展「千年のいのり−聖なる山・くにさき−」から頂戴しました。

 


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